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だからどうした。

うだうだカジュアルモード。

舛添要一東京都知事の一連の疑惑のもの悲しさ

今回の舛添要一都知事に関する疑惑は一貫してもの悲しい。
何がもの悲しいって、出てくる話がなんか全体的にセコい。
GDP規模91兆円とも言われる都市の代表なのに、なんかセコい。

 

少し思い出話を書かせていただく。

この人が世間に認知されるようになったのは、TVタックルではないだろうか。
当時、舛添要一時は「国際政治学者」として紹介されていたと思う。
東大法学部出身、パリ大学で研究員も務めていたといった紹介もされていた気がする。
パリ=華やかという昭和の人間が持ちがちなステレオタイプなイメージと、あの乏しい頭髪といかつい面もちのイメージが一致せず、当時中学生だった私は「こんな人でもパリに行けるんだ」と思ったもんだ。さりげなく失礼ですね、すいません。

 

 

この人の番組における役割は「にぎやかし」だった。女性の社会進出問題について田嶋陽子と激しく舌戦を繰り広げていたが、議論の内容はさっぱり覚えていない。覚えていることといえば、田嶋陽子が夫のパンツを洗う妻は奴隷であると言っていたことぐらいか。言いたいことは分からないでもないが、当時の表現が極端かつ強烈すぎて田嶋陽子=夫のパンツというイメージがいまだにある。
番組で扱っていた他の事柄も含め、舛添要一が何を言っていたかなんてさっぱり覚えていない。議論や発言の内容などはどうでもよく、罵り合いは番組を楽しんでみるためのエンターテイメント、あるいはアトラクションであった。あれから20年、気が付けば二人とも議員や知事になっていたり、司会を務めていた丸山珠代が保守鷹派で大臣になっているんだから、世の中どうなるか分からない。
以後、舛添要一をテレビで見かけるたびに「田嶋陽子と罵り合いをしていた人」と思うようになったし、何を発言しても毒にも薬にもならない「無難な人」という認識になった。

 

こういった「私の舛添要一への認識」と「世間における舛添要一への認識」は大体一致していると思う。印象や感想について特段何かを持っているわけではないという人が大半ではないだろうか。
しかし気が付くと彼は議員になっており、気が付くと大臣になっており、気が付くと都知事になっていたのである。
ニュースなどで議員になり、大臣になり、都知事になっているのは知っているはずなのに「いつのまにそんな大者に」と戸惑うばかりである。
そんないつのまにか知事になっていた舛添要一だが、今回の疑惑も「いつのまにそんな大事(おおごと)に」という感想を持っている。
「いつのまに」が彼の人生のキーワードである。

 

さて、今回の一連の疑惑であるが、湯河原の別荘へ公用車で行っていたという話が出た時は「走る知事室か何か知らんけど、移動中も電話をする必要があるんなら私的に運転手を雇えばいいのに」ぐらいに思っていたし、1週間の外遊で6000万を経費として使ったという話が出た時は「知事の権力を勘違いしたのかな」ぐらいに思っていた。
「いったんは批判を受け止め、今後改めればいいんじゃないか」という程度の感覚だ。

私の考えが変わったのは政治資金で家族旅行をしていたという報道が出てからだ。その額37万。

shukan.bunshun.jp

まだ疑惑段階であり、事実としての真偽はまだはっきりしていないので、あくまでも文春の報道を元に持った感想として受け止めていただきたいが、一般のサラリーマンは家族旅行とはいえ国内旅行で37万を出すのはなかなか勇気がいる金額ではないだろうか。
しかし勇気はいるが出せないことはない。嫁や子どもがどうしても行きたいのであれば一度ぐらい行ってやっか。
そんな感覚の金額である。
そんな一般のサラリーマンも出せないこともない金額を政治資金から出したというのがセコい。
見方を変えると政治生命を断たれるかもしれない金額が37万である。
舛添要一の政治家としての値段が37万であると言い換えることもできる。
GDP規模91兆円とも言われる都市の代表なのにもの悲しい。

もの悲しさのとどめが何と言っても「都の職員におごるときはマクドナルドでクーポンを使用」である。
どちらかというとクーポン方面ではなくマクドナルド方面にもの悲しさがただよう。
あくまでも想像ではあるが、「何ごちそうしたろか・・・そや!クーポンあるしマクドナルドでええか!」(関西弁であることに他意はありません。私が関西弁なので関西弁になってしまうだけだと思います。)という思考のもと、結果としてマクドナルドになったのであろうと思われる。悪意や他意はなく、彼はきっと純粋にそう思ったのだ。
ただ、相手が都の職員ということは、自分の部下である。都知事は1万2000人いる職員のトップである。一般企業でいうところの社長、あるいは会長である。CEOである。
60を超えたいい年をした金も名誉も地位もある一流企業のCEOが、社会人である部下にごちそうをするのに、マクドナルドというチョイスをするだろうか。相手が無類のマクドナルド好きでも、まずその決定はしない。


私が古い考え方の持ち主かもしれないが、上司は部下に見栄を張るものであり、部下は上司を立てるものである。

 

「鈴木君(仮名)は何が好きかな。」
「私はマクドナルドのチーズバーガーが好きです。」
「そうか、何か好きなものでもごちそうしてやろうと思ったがマクドナルドはちょっと体によくないな。今日は寿司をとるからそれを食べたまえ。寿司は食べられるか。」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」


といったツルッツルの上滑りの会話をするものである。それが組織における上下関係である。コミュニケーションというものである。
上司は「マクドナルドの方が安くつく」と思いながらも寿司をとるし、部下は「マクドナルドがいいのに」と思いながらも礼を言うものである。そういうものなのである。
私はマクドナルドへあまり行くことがないのでどういったメニューがあるのかを知らないが、舛添要一GDP規模91兆円とも言われる都市の代表の上司としての値段はマクドナルドのハンバーガーの値段と同じ値段ということになる。しかも「クーポンを使った」分、マイナス査定だ。
マクドナルドへの熱い風評被害になってしまいますが、マクドナルドとはそういったポジションであり、そうであるからこそのマクドナルドであるという言い訳をさせてください。)


ここで改めて振り返ると、政治資金、いわば自分の懐が痛まない費用に関しては金に糸目をつけず、自分の懐が痛む費用は糸目だらけであるという実態が見えてくる。後者に関してはむしろ糸目しか見えない。
この事実からも「ケチ」というキーワードが思い浮かび、GDP規模91兆円とも言われる都市の代表への更なるもの悲しさを感じずにはいられない。

 

猪瀬前都知事は金の問題で辞任したが「5000万を紙袋に詰め込んだが入らなかったので」といった豪快なエピソードがあったと思う。
それでも当時の私は「たかが5000万で辞任ねぇ…」と思っていた。
田中元首相はロッキード事件で5億(昭和51年当時の貨幣価値なので今で換算すると9億程度)、竹下内閣が総辞職する原因となったリクルート事件では詳細な金額が明らかになっていないほどの金が動いた。

時代がかわりそれがいまや37万。
他にも疑惑はあるが、せいぜい1000万とかその程度であろう。
言い換えると東京都の値段が1000万ということになる。

使い込みや賄賂を良しとするわけではないが、GDP規模91兆円とも言われる都市の代表の一連の報道を見ていて、もの悲しい以外にどういう感想を持てばいいのかいまだ分からないでいる。

(了)